展示のお知らせです

この展覧会は作家の田中 永峰 良佑さんによって撮影された写真データをお借りし、

それらを印刷したものを使用して制作した作品で構成されています。

彼の眼を通して撮影されたイメージは、私の知りえない視線の交差や判断によるものです。

第三者の鑑賞者としてしか介入する余地のない遠い場所にあるはずなのに、

いざその写真を前にすると撮影された人々や風景はこちらに親しげな視線を投げかけてくれているような錯覚を覚えました。

でもそれらは錯覚でしかなく、その視線や風景とはたどり着くことのできない距離が存在しています。

その距離を埋めることなく、考察したいと思うところから今回の制作が始まりました。

眼を凝らしても捉えているものはすり抜けていくように消え、また立ち上がってくる図像によって焦点がずれ続ける不安を覚えます。

その不安があるからこそみることを止めることなく続けたくなるのです。