隣家の庭

隣家の庭 / Arai Associates(錦糸町) 2021年3月20日(土)〜4月11日(日)

 

〝低い塀の向こうに広がる 隣家の庭。

立ち入ったことは無くとも毎日眺めているうちに親密な感情を抱くようになった。

ある時 その低い塀を乗り越えてそこに足を踏み入れてみる。ふと、もといた場所に目をやると そこにあったのは

低い塀の向こうに広がる 隣家の庭。〟

 

印刷面を下にし、水に浸すことでインクのシミが紙の裏に充満する光景を定点で撮影する。

最後のシーンを画像にして印刷したものを再び印刷面を下にして水に浸す。繰り返される行為によって、図像は消失していく過程を出現させ続けていく。

 

写真の図像に目をこらそうとしても、映像が重なり視点の置き場は彷徨う。

布を見ているのか、その先の透けた空間を見ているのか、眼前に投影される光を見ているのか。

 

親しげに笑いかける被写体の視線の先にたどり着くことは無い。

投げかける自らの視線も、行き場をなくして浮遊する。

 

 

撮影:伊藤久也