最初にしっかりとしたデッサンに取り組んだのは15歳の終わり位の頃だった。
確かモチーフは石膏像のアグリッパの面取り胸像だったような。初めて触れる木炭で描く課題で困惑した。
描きかたもわからなければ、モチーフの測りかたもわからず。見よう見まねでしのいだ。
何故に知らない白いおじさん(と、当時は思っていた)を木炭で描くのかも疑問に思わず、
色んな所を真っ黒にしながら擦りすぎてぬるぬるした質感になってしまった、根性描きの石膏デッサンを仕上げた事は記憶に残っている。
何だか思い返せば昔から、とにかく不器用で時間もかかるタイプのようだったのに、
(自分のできなさは心底嫌だったけど)取り組むことは不思議といやでもなかった。
歳を重ねるごとにうまく出来ないことが沢山出てきて、解決できないことも沢山あって、どうしたら良いかがもっとよくわかんなくなって。
デッサンの技術が上がれば解ると思ってたものが、どんどんわからなくなっていった。
見れば見るほど、複雑さや困難さが増していくような。
あの、ぬるっとしたデッサン、どこに行ったんだろう。捨てちゃったかな。
でも、あの、石膏を描いたとは思え無いぬるっと感の、魅力もない下手くそさ、絶対忘れられないなと思う今日の散文。
多分私は、基本がそんなことなので、いまもグルグルと何かしているのかもしれない。