2019年6月30日

6月 30, 2019

昨日、本を読んでいたら少し涙が出た。

家だったら良かったけど、閉館間際の図書館だったからググッと我慢するのが大変だった。

大きな窓がある図書館の窓際に座っていたから、窓の外を見遣るふりをしてちょっと泣いた。

 

窓の外の暗くなる住宅街を見ながら、本を読んで感情が動くのは映像を見て泣くことや、怪我をして涙が出ることとかと少し異質だなあと感じた。

本から考えをそらすと、感情が入り込んでいた対象は文字の羅列であり、紙を綴じただけのものに見える。

本から視線をそらせば、そこは私という身体が座る図書館の閲覧ブースでしかない。時計をみれば、現実の時間軸で針が動いている。

再び文字の羅列に意識と視線を戻せば、また感情や思考が動き出す。

読み終わり、本を閉じても思考はなかなか抜けず、引いたり押し寄せたりと、波のように漂う。

音も図像も身体性もない分、経験が限定されることなく徐々に変化しながら体に染みついていくように思えた。

 

いつか違う建物の窓辺で本を読んだ時、この日、泣くのを我慢して鼻の奥がツンとしたことがほんの少し思い起こされたら良いな、と思う。

 

 

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