It is mere guesswork それは単なる推測にすぎない
「It is mere guesswork それは単なる推測にすぎない」/
Maebashi Works 群馬県前橋市
2015年11月28日(土)~12月20日(日)
そう見えた、ような気がした。次の瞬間には確信はない。
あれのことを考えるとそれが消えて、それのことを考えるとあれが消える。
でも実際には上手くはなくなってはくれなくて、みんなバラバラと散らばり、積もって、また私は推測するしか手立てをもてなくなった。
絵画という枠の中。物質という枠の中。逃れたくても逃れられないその大きな庭で、私は走り回る。
〝塗り分け〟という必要最低限の描くという行為に思えた作業を重ね、絵画と呼べるか否かの表層を生む。年月を重ねた家具も、買ってきたパネルも、木端も、写真の裏も、ただ塗り分けられ、配置され、
表層と物質の間の埋められない隙間のような関係性の中、部屋の中にただ、ある。
そこに流れる映像には、窓の外の工事現場の布のはためきが淡々と映し出される。時間と共に透けてくる足場は、そこに存在し続けていたにも関わらず、映像の大半は姿が見えない。
壁際や床の上に配置されたそれらは、何に縛られて存在し続けていくのか。その問いかけをしているなかで、走り回って出口を探しているつもりが、穴を掘ってもぐっていっている自分に気が付いた。
やがてその穴の深さもわからなくなり、そもそも穴なんて勘違いだったのかもしれないと考えるようになった。
穴は掘れば深くなるなんて、思い違いだったのだ。
ふと見上げればそこにあるもの達に見覚えのなさすら感じる。
ここはどこだろう。
もうどこでもいいのかもしれない。
撮影:木暮伸也