〝彼女の眼はなにもとらえてはいない〟 いつの日か彼女のみていたであろう景色を私は思い浮かべる。 何をみていたのか尋ねた私に、彼女は視線をそらさずに 「とくに、なにも。」と答えた。 そしてまたみつめ続ける。 彼女は何もみていない。でも、みることをやめることはしない。